学校の働き方改革「10の提言と50の具体策」

持続可能な学校をつくるための具体的な提案

「#学校ってなんだろう」を読んで

「#学校ってなんだろう」という本があるのを知って早速取り寄せた。学校の存在意義について20人の教育関係の専門家がそれぞれの立場から意見を述べている。この企画は実に意義深いと思う。 さて、読み終わって驚いたのは、私と同じ考え方が一つもなかったこ…

【ポストコロナの学校改革15】多様性と向き合う③問題行動や不適応と多様性の境界

平成元年の学習指導要領では「個性を生かす教育の充実」が強く打ち出されました。子ども中心・個性重視の考え方が求められる中で、当時「どんな個性も認めるのか」ということが度々議論になりました。「理科が得意」「走るのが得意」「人に優しい」というポ…

【ポストコロナの学校改革14】多様性と向き合う②大量の学習内容と多様性の両立

前回のブログでは、学校が「多様性」と向き合った時に壁になるであろう3点を提示しました。 (1)大量の学習内容と多様性の両立 (2)問題行動や不適応と多様性の境界 (3)教員の多様性 今回は(1)について述べます。 学習指導要領には、大量の内容が…

【ポストコロナの学校改革13】多様性と向き合う①

大きな駅に緑のトイレができて久しいです。車椅子の方も、赤ちゃんを抱えた方も使いやすい構造になっています。トランスジェンダーの方も安心して使えます(マツコが青と赤とどちらのトイレに入ればいいか悩まなくてよいという意味です)。私の住む富山県で…

【ポストコロナの学校改革12】授業革命が起こる

ポストコロナの学校は授業が劇的に変わります。その変化は学校制度そのものを覆すほど強烈なものです。 それはタブレットのもつ2つの機能によるものです。それは「個別指導機能」「リモート対話機能」です。 6年生の算数の問題を使って説明してみます。 直…

【ポストコロナの学校改革11】部活動改革への提言

私の所属する富山県教職員組合では、去る10月に教職員対象のWEBアンケートを行いました。(1015人から回答) 9月の時間外勤務時間について 【小学校】45時間未満•••39%(昨年12%)、80時間以上•••12%(昨年41%) 【中学校】45時間未満•••24%(昨年10%…

【ポストコロナの学校改革⑩】幸せをもたらす教育施策

前回、学習指導要領をはじめとする制度が「誰もが幸せになる」という上位目標に従って建て付けられていることを述べました。 しかし実際には今の日本がそうなっているかというと疑問です。その原因を今回は教育施策の視点からお話したいと思います。 「学校…

【ポストコロナの学校改革⑨】学校は何を教えるところか

前回、私のブログに意見を寄せてくださった方の中から、「学校は何を教えるところか」という問題提起がありました。それに対する反応が「多様」であることに少し驚きました。「教科を教えるところだ」「いや勉強ではなく人間性を育てるところだ」というよう…

【ポストコロナの学校改革⑧】脱「日本型学校教育」〜教員の本来業務に集中できる環境を〜

私と同じ「ポストコロナの学校」の姿を考えている組織があります。「中央教育審議会初等中等教育分科会」いわゆる「中教審」です。(私と一緒のレベルで紹介してはいけませんね。失礼しました。) 10月7日に「中間まとめ」が発出されています。 「令和の日本…

【ポストコロナの学校改革⑦】「自ら学ぶ子ども」をどうやって育てるのか

子どもたちに「自ら学ぶ力」がついていないことを突きつけたのは、コロナの長期休業でした。休校の間、自分の興味や関心のあることについて勉強をすすめることができたのはごく一部の子どもたちだけでした。平成の教育が目指してきたのは、自ら学び、自ら考…

【ポストコロナの学校改革⑥】未来に生きる力を育てる

今回は視点を変えて教科指導について話をすすめます。 「詰め込み教育」という言葉を聞いたことがあると思います。それに対する「思考力の育成」「自ら学び自ら考える力」「生きる力」は、知識偏重のアンチテーゼとして、昭和の終わりから事あるごとに叫ばれ…

【ポストコロナの学校改革⑤】学校の働き方改革と子どもの学びの両立を

前回、「空気」(同調圧力)による子どもの統率が様々な歪みを生じさせているという指摘をしました。 その中で、世田谷区桜丘中学校の西郷孝彦校長の事例を少し紹介しました。西郷校長は、校則をなくし、社会のルールを学校に当てはめました。つまり、友達に…

【ポストコロナの学校改革④】いじめを防げない学校のボトルネック

今回は【ポストコロナの学校改革①】で示したように「教員が子どもに対する強制力をもたない」中、実際どのように子どもたちを統率しているのかを分析し、それがどのような影響を及ぼしているかを解説します。 まず、教員が子どもたちを統率する方法を①〜⑤の…

【ポストコロナの学校改革③】学校が抱えた保護者の監督責任

前回、【ポストコロナの学校改革②】平成30年間の学校教育の変質で述べたように、学校は内外の圧力によって、抱えきれないほどの業務と責任を背負うことになりました。 特に私がこの30年間の「痛恨の一打」と思うのが、保護者の監督責任を学校が丸抱えしてし…

【ポストコロナの学校改革②】平成30年間の学校教育の変質

今回は、平成の30年間でどのように学校が変質していったかを示します。「何が起こったのか」ではなく、それがどんな意味をもつのかを深掘りしているため、かなり長文になりますが、これからの学校の制度を考える時に、過去の検証は必須です。同じ轍を踏まな…

【ポストコロナの学校改革①】学校制度のボトルネック

「コロナ禍は業界が先送りしてきた問題を可視化した」というのは、あるファッション業界のリーダーの言葉です。利益を優先するあまり、高回転で、大量生産し、大量廃棄する構図に限界があることがコロナ禍ではっきりしたのです。 教育界も、様々な問題が露呈…

【コラム10】コロナ×学校の働き方改革③ 〜子どもたちの学びをフルモデルチェンジするのは今しかない〜

3月の休校時に、「だれが子どもを預かるのか」ということばかりが問題として取り上げられて、子どもたちから学習の機会が失われたことがマスコミ上でほとんど問題になりませんでした。「学校に勉強を教える機能はそれほど期待されていない」ということが浮き…

【コラム9】コロナ×学校の働き方改革②

前回は家庭教育力の低下について書きましたが、今回は地域や行政の教育力についてです。 学校に子どもへの教育機能を一極集中させた日本型学校教育は、今回のようなトラブルがあった時に一気に子どもたちの学びを停止させてしまう可能性があります。文部科学…

【コラム8】コロナ×学校の働き方改革①

新型コロナウイルス感染防止対策(以下「コロナ対策」「コロナ問題」)によって、学校の働き方改革の問題は消し飛びました。むしろ、「子どもが学校に来ないのに先生は何をやっているんだ」「授業をしていない先生に給料払うのか」という、いつもながらのバ…

【コラム7】コロナ休校で見えた教育の3つの問題

新型コロナウイルス感染症に伴う公立学校の一斉休校は、社会全体に衝撃を与えました。その衝撃の大部分は「子どもを誰が預かるのか」という問題でした。私は共感できる部分がありながらも、かなり斜めの視点からこの問題を分析していました。そして、現在の…

【コラム6】春名風花さん「いじめる側こそ学校に来ないで」から考えるいじめ対策の難しさ

春名風花さんの「いじめる側こそ学校に来ないで」という発言が拡散したのを受け、内田良さんが、「出席停止」制度の問題点を指摘しています。 Yahoo!ニュース『いじめ加害者の出席停止ゼロ件 夏休み明け「学校に行かなくていい」を考え直す』https://news.ya…

【コラム5】いじめ対策の盲点は「防止」ができていないこと

「いじめ防止対策推進法」の中に教員の懲戒処分を含めるかどうかが議論されています。 『【#しんどい君へ】揺れる「いじめ防止法」…放置した教職員を懲戒すべきなのか』(読売新聞オンライン) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190820-00010002-yomt-s…

【具体策11】夏休みの宿題と作品応募のあり方を見直す

私の住む地域では、小学校の夏休みの宿題は、①ドリル、②作品応募、③日記、④自主学習などが一般的です。提出物として、「生活表」(日々の学習時間や1行日記の記録)やラジオ体操カードなどがあります。 たくさんの宿題を出す背景には、教員側に「1か月以上勉…

【コラム4】平成の教育を多忙にした犯人は

地元の新聞社から取材がありました。「平成を振り返って、学校の多忙はどのように進んだのですか?」私は平成元年に教員になっていますから、まさに多忙化の過程を歩んできました。しかし、どこに多忙の根源があったかというのはなかなか見えないものです。…

【具体策10】「自転車教室」は地域・保護者が行う

以前、東京の小学校の先生と話をしていて驚いたことがあります。(私は富山県の教員です。)私が「うちの地域は小学校で自転車の交通安全教室ってやるんですよ」と言うと、その方は「それ東京でもやってますよ」と言われました。詳しい話を聞くと、細部まで…

【4コマまんが①】4月は気をつけて

これは富山県教職員組合の機関紙に掲載したマンガです。 読まれた方から「職員室で先生方みんなで『そうだよなー』って笑っていました」と感想をいただきました。 「でも、その後の職員会議で、マンガと同じことになっていました」と。 現実の学校はマンガよ…

【具体策9】子どもの登校時間の適正化を

教職員の勤務開始時刻は8時00分から8時15分くらいに設定されている学校が多いようですが、多くの子どもたちはその前に学校に到着している現状があります。8時前後を子どもたちの登校時間として設定している学校が多いようです。家を出る時間はさらにその前の…

【具体策8】通知表を年1回にする

私が校務の中で、最も負担が大きいと感じるのが「通知表」です。「評価がなくて教えっぱなしならどんなに楽か」と何度思ったか分かりません。 通知表は公簿ではありませんから、出すも出さないも校長の任意です。もっと言えば、通知表に何を書いて何を書かな…

【具体策7】教員免許更新制を見直す

私は今年、教員免許更新をしなければいけません。放送大学を選択し、今まさに講習を受けているところで、ブログの更新が滞っているのはまさにこれが原因です。 多忙な中、時間を見つけ、講義を視聴しているので、当然、批判の気持ちが強く湧き出てくるわけで…

【具体策6】運動会を半日に

運動会を半日にする学校が増えているそうです。 2018.6.5日経新聞『「午前中だけ運動会」広がる 共働き家庭に配慮』 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31369120V00C18A6CC0000/ この記事をまとめると次のようになります。 ・運動会の短縮は保護者負担の…