学校の働き方改革「10の提言と50の具体策」

持続可能な学校をつくるための具体的な提案

【具体策4】英語の+35コマを時間割のコマを増やさずに行う

2020年度から、小学校5・6年生の英語、3・4年生の外国語活動は現行の時間数+35コマの授業時数になります。3・4年生は現行の週27コマから28コマ、5・6年生は週28コマから29コマが基本となります。または、1コマを増やさずに15分×3のモジュールにする方法もあります。

1コマ増か?モジュールか?

学校は難しい選択を迫られています。一方で、いくつかの市町村では2年間の前倒しで1コマを増やしていますが、あまりの負担に現場からは悲鳴に近い声が上がっています。

実は、「1コマ増か?モジュールか?」ではないのです。どちらもせずに、35コマを確保する方法があります。

【提言1】で、ある小学校の授業時数の例を示しましたが、学校には980コマの授業コマ以外に120コマ程度の余剰コマがあります(学校によって差はあります)。イメージとしては、「4月から授業だけをやったら、2月の途中で勉強はすべて終わる」感じです。この余剰コマに「行事、クラブ、児童活動」が入れられていますが、これらの時間数は任意です。つまり、120の余剰コマに入っていた行事、クラブ、児童活動を削減すれば、コマ数を増やさずに35コマの英語の時間を生み出すことができます。(ただし時間割はかなり工夫が必要になります。)

そして、その改革のチャンスは2020年度の学習指導要領の本格実施の時しかありません。つまり2019年度の1年間で、28コマ内で英語の+35コマも行うプログラムを作ることが必須です。プログラムの実施には現状の行事等の削減が必須ですから、十分な議論が必要です。まさに「今から」この議論をスタートさせなければいけないのです。

【提言3】で示した「マスト」と「ベター」の区別に従うなら、英語はマスト、行事はベター(マストではあるが、時間数の設定がない)ですから、順序としては「まず英語の時間確保し、余った時間で行事を行う」ことになります。週29時間は、小学生の発達段階から考えても、教員の負担から考えても、望ましい措置でないことは明らかです。

保護者には理解を求めなければいけません。「英語の35時間が増えた分、行事等を削減しなければコマ数が増え、学校運営が立ち行かなくなる」と説明すれば、削減に対する理解は得られるでしょう。これを実施するのとしないのとでは先生の働き方に大きな差が生じます。「これすらできない」学校であれば、もはや持続可能性は見込めません。これは働き方改革を本気で進める気があるか、ないかの試金石でもあると思います。

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