【具体策2】現状分析からエビデンスを
「2016年度教員勤務実態調査」で中学校教員の6割が過労死ラインの時間外勤務をしていたことが明らかになっています。
なぜこんなに忙しいのかという理由は「給特法が・・・」「部活動が・・・」「支援が必要な子どもが・・・」「保護者対応が・・・」「教科が増えて・・・」など数多ですが、核心部分はどこにあるのでしょう。現状を分析、整理していきましょう。
前述の「2016年度教員勤務実態調査」では、1日の業務内容別時間が明らかになっています。
この中から、子どもに関する指導として「最低限これだけは必要だ」と思われる業務だけ取り出してみます(平日のみ)。
小学校で8時間33分(朝の業務0h35m、授業・授業準備・学習指導5h57m、成績処理0h33m、生徒指導1h05m、学年・学級経営0h23m)
中学校で8時間16分(部活動を除く。朝の業務0h37m、授業・授業準備・学習指導5h11m、成績処理0h38m、生徒指導1h20m、学年・学級経営0h38m)
ということで、共に7時間45分の勤務時間を超えています。そもそも「収まらない」設計であることが明らかです。(残念ながらこの部分は基本的に人員を増やすことでしか改善できません。仮に予算がついたとしても人員は完全に不足しています。)
では次に「工夫次第で削減が可能」と思われるものを取り出してみます。
小学校で1時間48分(クラブ活動0h07m、児童会0h03m、学校行事0h26m※準備を含む、学校運営0h22m※校務分掌等、職員会議・打ち合わせ0.24m、研修0h26m)
中学校で2時間17分(部活動0h41m、生徒会0h06m、学校行事0h27m※準備を含む、学校運営0h21m※校務分掌等、職員会議・打ち合わせ0.25m、研修0h18m)
これらはそのまま時間外勤務時間として発生します。
()内の内訳を見ていただければ分かるように、
部活動(中)
学校行事 ※行事準備含む
職員会議・打ち合わせ
学校運営 ※校務分掌等
研修(小)
これらが時間外勤務時間を増加させていることが分かります。
つまり、学校の業務削減をするなら、上の5項目を削減は避けては通れないということです。
さらに、この5項目をよく見てみると、私には一つのキーポイントが浮かび上がって見えます。
それは学校行事です。
なぜなら、学校行事を減らすと、行事準備も減り、職員会議や打ち合わせも減り、校務分掌にかかる時間も減るからです。
もちろん学校によって差はあるでしょうから学校毎に分析が必要です。
それを誰がやるかというと教育委員会と管理職しかありません。この調査のような細かな時間の把握は難しいですが、部活動の総実施時間や、行事に使ったコマ数などはすぐに計算できます。
企業が財務の厳しい分析と適正化を行うのと同様に、学校は時間の分析と適正化をしなければいけません。それが今の学校に必要なのマネジメントではないでしょうか。
削減には保護者や地域、職員の理解が必要になります。実はここで同意を得るのがが最も難しいのです。しかし、このようなエビデンスがあれば理解を得やすいはずです。このまま学校が壊れていくのを選択するか?業務を削減することを選択するか?みんなが一緒に考えなければいけません。